オリンピック景気に沸く建築業界。
住宅業界も一時ほどではないにしても、低金利を背景に好況を維持しているようです。
ただ一方では、増え続ける空き家の問題が深刻化していると聞きます。
この問題の解決案を富山県の高校生が提案してくれました。
数ある強豪をはね除けて富山県が優勝!建築士会の3月号会報からです。
このリノベーション案がすばらしい!「建築甲子園」で富山工業高校が優勝!
建築士会連合会主催の第7回高校生の「建築甲子園」で富山県の富山工業高校が優勝しました。
会報によると、審査は野球の甲子園大会と同様に、抽選にによる対戦組み合わせ方式で審査が進められたとのこと。
全国78校146作品の応募中、42都道府県54作品が「甲子園」で戦いました。
トーナメント表の右下が富山県です。
計画案は約50年前に建てられた実際の団地のリノベーション
この団地は富山市の郊外にあり、約27,000㎡の敷地内にある77棟の住棟の1戸あたりの面積は31.74㎡。
掲載されている計画案から判断するに、既存団地は、4軒で1住棟の平屋の長屋が立ち並んでいる様子。
このうちの平行する2棟に大屋根を架けて、そこに出来た空間を様々な用途のオープンスペースとして利用するというもの。
初期段階では、このオープンスペースを4ヶ所設け、市場・食堂・情報コーナー・ワークスペースを設置することで人を呼び込み、既存住戸への移住を促します。
そして移住者が、既存の住戸にそれぞれ自由にリノベーションをかけることで、人の交流が生まれ、活気のある街が出来上がるという計画です。
近年問題化している空き家問題の解決策のひとつになりますよね。
建築コンペなので、計画の発想も大切ですが、その表現力つまりプレゼンテーションも非常に大切です。
住戸を切った、大きな断面パースを最初にもってきて、そのあとに住戸が変化していく様子をパースでかいています。
字を読まなくても、図を見るだけで計画の概要が分かるように表現されています。
チームは高校2年生の男子2名、女子3名。
教員の指導を受けつつこの案を仕上げたそうですが、建築を勉強して2年も経たない高校生が、これだけのものを作れるとは大感動です。
富山県には、建築学科を有した大学がなく、この工業高校の建築学科の卒業生が富山県の建築界を支えているという話を聞いたことがありますが、しっかりとした教育をしているのでしょうね。
まとめ
人口減なのに毎年約90万戸の新設住宅、空き家が増えて当然です。
全国に空き家は約820万戸あるそうです(平成25年)。都市部ではマンション、地方では戸建て住宅の空き家が増えているそうです。
国は、既存の中古住宅の流通に力を入れていると聞きますが、なかなか効果がでていないようです。景気を刺激するには、新築の政策を充実させたほうが効果的ですからね。
コンペで優勝した高校生のように、粘り強く解決案を練る必要がありますね。