省令準耐火構造の省令って、そもそもどこの省から出ている省令?
厚生労働省・国土交通省から出ている共同省令です。
省令準耐火構造とは、本来
『勤労者財産形成促進法施行令第36条第2項及び第3項の基準を定める省令(H19.3.31厚労省・国交省令第1号)』
の中の、第1条ロ項(2)に該当する住宅の構造のことです。
条文を引用します。
第1条ロ項(2)
次に掲げる耐火性能を有する構造の住宅に該当する住宅
(ⅰ)外壁及び軒裏が、建築基準法第2条第8号に規定する防火構造であること
(ⅱ)屋根が、建築基準法施行令第136条の2の2各号に掲げる技術的基準に適合するものであること
(ⅲ)天井及び壁の室内に面する部分が、通常の火災時の加熱に15分間以上耐える性能を有するものであること
(ⅳ)(ⅰ)から(ⅲ)までに定めるもののほか、住宅の各部分が、防火上支障のない構造であること
補足:(ⅱ)について、屋根が不燃材料で葺かれている必要があります。
以上が、省令準耐火構造に関する省令です。
簡易耐火構造と準耐火構造
省令準耐火構造とは全く別物なのですが、準耐火構造というものが有ります。
これは建築基準法のなかで定義されている耐火構造のひとつで、いってみれば「正統派」の耐火構造です。
省令準耐火構造という言葉は、建築基準法には出てきません。言葉は悪いですが、「亜流」です。
そのせいかもしれませんが、建築士に「省令準耐火構造ってなんですか」と聞いても知らないひとがたくさんいます。
この「正統派」の準耐火構造は、以前「簡易耐火構造」とよばれていました。
この上には、正統派の親分「耐火構造」がいるのはいまも昔も変わりません。
話を戻します。
この、「簡易耐火構造」が存在したころ、「簡易耐火構造に準ずる構造」という「亜流」があったわけです。
この亜流はこの頃、「準耐火構造」と分かりやすい言葉で呼ばれていました。
ところが、平成5年建築基準法の改正により、正統派「簡易耐火構造」は正統派「準耐火構造」と呼び名が変わりました。
それまでの「準耐火構造」は亜流なので、名前を変えてもらわなければ世間が混乱します。
亜流「準耐火構造」は、亜流「省令準耐火構造」と呼び名を変えるに至りました。
(省令準耐火構造さま、亜流とよんで申し訳ありません(^^:))
以上、準耐火構造と省令準耐火構造の歴史を説明いたしました。
省令準耐火構造にも2つの種類があるって...?
省令準耐火構造というと、住宅金融支援機構が定めたのフラット35を利用するときの基準というのが一般の認識かと思いますが、実は機構で定められているのはあくまで「住宅金融支援機構仕様」なのです。
では、もうひとつは何かというと、日本木造住宅産業協会(木住協)が定めた「木住協仕様」というものがあります。
この仕様には特色があって、柱や梁を室内に現すことができます。「支援機構仕様」ではNGです。
準耐火構造というのは、元々は枠組壁工法(2×4工法)が火に強く耐火構造に準ずるということで、枠組壁工法のみの仕様でした。
しかし、平成19年から木住協が仕様化することで在来工法での施工が可能になりました。ただし、施工業者は木住協会員に限定されていました。
平成21年、住宅金融支援機構が、独自の仕様をオープン化したことで、準耐火構造は誰でも施工ができるようになりました。
フラット35の融資基準にもなったことで、省令準耐火構造はの普及が急速に進みました。
まとめ
かなり長々と取りとめもなく書いてしまいましたが、住宅金融支援機構仕様は、基準も明確でチェックリストも整備されているので分かり易くなっています。
ただ何事もそうですが、施工がしっかりなされて初めて性能を発揮しますので、現場でのチェックを確実に行いたいものです。