民泊は建築基準法上はあくまで「ホテル・旅館」という特殊建築物です。
防火上、避難上の規制がかかってきます。
防火上主要な間仕切壁、これ最大のネックです!
住宅などを用途変更して、民泊(簡易宿所)・下宿(シェアハウス)などにする場合、この「防火上主要な間仕切り壁」というのが最大の関門になります。
建築基準法
第35条
別表第1(い)欄(1)項から(4)項までに掲げる用途に供する特殊建築物、階数が3以上である建築物、政令で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物又は延べ面積((略))が1、000㎡をこえる建築物については、廊下、階段、出入口その他の避難施設、消火栓、スプリンクラー、貯水槽その他の消火設備、排煙設備、非常用の照明装置及び進入口並びに敷地内の避難上及び消火上必要な通路は、政令で定める技術基準に従って、避難上及び消火上支障がないようにしなければならない。
第36条
(略)階段の構造、便所、防火壁、防火区画、消火設備、(略)、この章の規定を実施し、又は補足するために安全上、防火上及び衛生上必要な技術基準は、政令で定める。
この条文をうけた政令が次です。
建築基準法施行令
第114条
2.学校、病院、診療所(略)、ホテル、旅館、下宿、寄宿舎(略)の用途に供する建築物の当該用途に供する部分については、その防火上主要な間仕切壁(自動スプリンクラー設備等設置部分その他防火上支障がないものとして国土交通大臣が定める部分の間仕切壁を除く)を準耐火構造とし、小屋裏又は天井裏に達せしめなければならない。
この壁は、天井裏まで達しめることが必要で、既存の壁をこれに変更するには多大な労力・費用が必要となります。
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でも、条文の中に緩和規定がありますね。
「国土交通大臣が定める部分の間仕切り壁を除く」の部分です。
この緩和規定がありがたい!
平成26年8月22日 国土交通省告示第860号です。
詳細は省きますが、この告示によって上記のような大掛かりな工事は不要になります。
全く不要かというと、建物の状況により変わってきますので建築士などの専門家に相談して下さい。
まとめ
建築基準法の「防火・避難規定」は、条文や告示、消防法が絡み合ってとても難解なものです。
そして、これらにかかわる部分は、建築指導課や消防署と密に打ち合わせする必要があります。
民泊への用途変更の手続きは、こちら。