基礎断熱工法というのを耳にする機会が増えてきました。
北海道発の住宅メーカーが関東以西の地域でもこの工法の採用を働きかけています。
床断熱と基礎断熱
床断熱
1階の根太や床下地材の直下に断熱材を配置する断熱工法で、現在最も一般的な工法です。
床に通風を採ることで、防湿を図ります。
この場合、床下は外部空間となります。
基礎断熱
基礎の外側や内側で、土の部分まで断熱することによって、住宅の足元全体を断熱する工法。
床下は室内空間となります。
床下空間を乾燥状態に保てるので、木材の耐久性の面でも優れています。
それぞれのメリット、デメリット
床断熱
[メリット]・最も一般的な工法で、使用する断熱材にもよりますが、コスト面のメリットが大きい。
・基礎パッキン工法を用いることで、床下全体の通風を取りやすい。
[デメリット]・根太や大引きの間に断熱材を設置するため、施工の手間がかかる。
・水周りの床下等が高湿になりがち。適切な通風計画が必要。
基礎断熱
[メリット]・断熱材の施工が容易。床断熱に比べ大工の手間が減るのでコスト面で有利。
・熱容量の大きい基礎コンクリートが蓄熱層として機能することで、温度変化を抑えられる。
・床下暖房を行うことで、床下を乾燥状態に保つことができる。エアコン1台で床下を暖房できるので、床暖房に比べてコストがかなり安く上がる。
・床下空間を室内のように利用することができる。
[デメリット]・床面温度が低くなりがち。床下暖房が必要。
・内部の基礎の立ち上がりが、床下の通風を阻害しないよう計画する必要がある。
・断熱効果を高めるために、基礎下すべてに断熱材を取るのが理想だが、材料が限定されるためコストアップの要因となる。
基礎断熱はシロアリ対策に留意すること
基礎の外側に発泡系の断熱材、特に硬質ウレタンフォームを使用する場合は、シロアリの食害を受けないよう防蟻処理をされた材料を使う必要があります。
このほか、住宅の周囲にシロアリの駆除剤を配置して、シロアリを死滅させる方法もありますので、採用を検討してみるのもよいでしょう。
基礎断熱工法では、床下空間を室内として扱いますので、防蟻処理を行いたくありません。
この場合、地盤から1mの高さまでは、柱・土台・大引き・束・火打ち・間柱・筋かいの材種はヒノキ・ヒバ等を使用する必要があります。
まとめ
その他、基礎断熱では床下の換気措置は取らないのが一般的ですが、断熱気密用の換気口を設けることで、夏に床下に冷気を取り込み、さらにそれを室内に取り入れる工夫をすれば、より快適性が増します。
高断熱高気密住宅は、イニシャルのコストアップが気になりますが、いろいろ工夫することでランニングコストを抑えつつ快適な環境を作り出すことができます。
採用を検討してみてはいかがでしょうか。