省エネ法は正式には、「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」といいます。
第一条 この法律は、内外におけるエネルギーをめぐる経済的社会環境に応じた燃料資源の有効な確保に資するため、工場等、輸送、建築物及び気化器器具等についての・・・・・・エネルギーの使用の合理化等を総合的に進めるために必要な措置等を講ずることとし、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
昭和54年にに制定され、最終改正は平成25年5月31日で、国の管轄機関は、経済産業省、資源エネルギー庁になります。
省エネ法が規制する分野
省エネ法が規制する事業分野は4つで、それぞれに規制対象となる事業者が定められています。
規制分野は次の通り。
①工場等、②輸送、③住宅・建築物、④機械器具等
③住宅・建築物の規制対象について、みてみたいと思います。
規制対象は、次の3者です。
(ⅰ)建築時:住宅・建築物の建築主
(ⅱ)増改築、大規模改修時:住宅・建築物の所有者・管理者
(ⅲ)特定住宅(戸建て住宅):住宅供給事業者(住宅事業建築主)
住宅・建築物は規模により省エネ法上の届出が必要
①第一種特定建築物(2,000㎡以上の建築物)の建築主は、新築・増改築及び大規模修繕等の際、省エネ措置を所轄行政庁に届け出なければなりません。
省エネ措置が著しく不十分である場合には、変更の指示、公表、変更命令が行われることがあります。
②第二種特定建築物(300㎡以上2,000㎡未満の建築物)の建築主は、新築・増改築の際、省エネ措置を所轄行政庁に届け出なければなりません。
省エネ措置が著しく不十分である場合には変更の勧告が行われることがあります。
③第一種特定建築物、第二種特定建築物(住宅を除く)の管理者は省エネ措置の維持保全状況を所轄行政庁に定期報告する必要があります。
④住宅を建築し販売する住宅供給事業者(住宅事業建築主)は、その新築する特定住宅について、一定の省エネ性能を満足する必要があります。
一定以上の戸数を供給する住宅事業主については、特定住宅の性能の向上が不十分である場合、勧告、公表、命令が行われる可能性があります。
省エネ法、国交省の管轄部分
上記の住宅・建築物についての管轄は国交省になります。
省エネ法に係る様々な告示・省令・指針が国交省から出されています。
国交省のHPは、こちら。
「建築物のエネルギー消費性能向上に関する法律」
エネルギー消費量に関し、省エネ法対象分野のなかでは、他部門(産業・運輸)が減少する中、建築部門においては著しく増加し、現在では全体の1/3を占めているそうです。
こうしたなか、建築部門の省エネ対策の抜本的強化が必要不可欠ということで、建築物のエネルギー消費性能の向上を図るため、「建築物のエネルギー消費性能向上に関する法律」が平成27年7月8日に公布されました。
これにより、建築物に関しての省エネ規制は、「省エネ法」から「建築物省エネ法」へと移行することになりました。
この法律の最大の要点は、「大規模非住宅の省エネ基準適合の義務化」で省エネ適合判定が建築確認と連動することとなりました。
その他、建築事業主に対する規制、努力規定も細かく定められています。
まとめ
建築、特に住宅部門のエネルギー消費量は、生活スタイルの変化や社会構造変化の影響で、石油危機の1973年の消費量を100とすると、00年には約220まで拡大。
その後、99年の省エネ基準全面改正、住宅エコポイントなどのおかげで14年には196まで下がりました。
しかし、上で書いたとおり、建築・住宅分野の省エネ対策は待ったなしのところまで来ているようです。