省エネ基準の変遷
省エネの基準って、何回も見直されてきました。
・昭和55年基準(旧省エネ基準)
↓
・平成4年基準(新省エネ基準)
↓
・平成11年基準(次世代省エネ基準)
↓
・平成25年基準
という具合です。
平成25年基準について、平成11年基準からの変更点
平成27年4月から、住宅性能表示に関して平成25年基準が適用されるようになりました。
平成11年省エネ基準 | 平成25年省エネ基準 | |
地域区分 | Ⅰ~Ⅵ(6区分) | 1~8(8区分) |
外皮の 省エネ基準 |
Q値[W/㎡K]=建物から逃げる熱量 /延床面積 μ値=建物に侵入する日射量 /延床面積 |
UA値[W/㎡K]=建物が損失する熱量 /外皮等面積ηA値=建物が取得する日射量 /外皮等面積×100 |
一次エネルギー 消費量 |
– | 基準一次エネルギー消費量 ≧ 設計一次消費エネルギー |
Q値:熱損失係数
UA値:外皮平均熱還流率・・・小さいほど断熱性能が高い
μ値:夏期日射取得係数
ηA値:冷房期平均日射熱取得率・・・小さいほど日射が入りづらく、冷房効率が高い
1)地域区分の細分化
改正前の基準ではすべての地域で、断熱性能・日射遮蔽性能の基準が設けられていましたが、改正後の基準では、寒冷地においては冷房期の平均日射取得率(ηA値)の基準が、蒸暑地においては外皮平均熱還流率(UA値)の基準が設けられなくなりました。
(ちなみに富山、石川県は、4~6の地域区分となります。ざっくり山間部が4、市街地が6です。)
2)外皮の省エネ性能の見直し
上の表の通り、Q値・μ値に関して分母が「延床面積」なのにたいして、UA値・ηA値に関しては分母が「外皮等面積」に変わっています。
これによって、数値の根拠が明確になりました。
3)一次エネルギー消費量
外皮の断熱性能だけでなく、暖冷房や給湯などの設備機器も含めた、建物全体の省エネ性能を評価する基準が追加されました。
建築物に導入される設備機器の仕様から、年間の設計一次エネルギー消費量を算出し、これを基準一次エネルギー消費量と比較することにより判断します。
※一次エネルギーとは...化石燃料、原子力燃料、水力・太陽光など自然から得られるエネルギーを「一次エネルギー」、これらを変換・加工して得られるエネルギー(電気、灯油、都市ガス等)を「二次エネルギー」といいます。建築物では二次エネルギーが多く使用されており、それぞれ異なる計算単位(kW、l、MJ等)が使用されています。それを一次エネルギー消費量へ換算することにより、建築物の総エネルギー消費量を同じ単位(MJ、GJ)で求めることが出来るようになります。
まとめ
平成25年基準に基づく省エネ性能は「断熱等性能等級4」となります。
さらに、この上に低炭素基準が設けられています。
省エネ基準の根拠を細かく設定することで、建物の性能表示の精度が上がりました。その分、それを申請する手間もかなり煩雑なものになりました。
→「住宅・建築物の省エネルギー基準及び低炭素建築物の認定基準」(社)日本サステナブル建築協会