木造の構造設計について考えてみました。
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設計手法として考えると...仕様規定と構造計算
設計手法には大きく2つあります。
①仕様規定
②構造計算
①仕様規定とは
規模が一定以下の小規模建築物で、床面積等に係数をかけて壁量を求めたり、表から数値を読み取って構造体の強さなどを決定することができるというもので、根拠法令は以下。
イ 基準法(施行令46条による壁量計算)
※基準法...建築基準法
ロ 品確法の定める性能表示「構造の安定(等級1、2、3)」
※品確法...住宅の品質確保の促進等に関する法律
②構造計算とは
建築基準法20条に定められている計算手法。
イ 許容応力度計算(ルート1)
ロ 許容応力度等計算(ルート2)
ハ 保有水平耐力計算(ルート3)
ニ 限界耐力計算
申請手法として考えると...確認申請と品確法による性能表示
申請手法には大きく2つあります。
①確認申請
②品確法による性能表示
①確認申請するときの方法
イ 仕様規定による壁量計算(施行令46条)
ロ 許容応力度計算による構造計算
一般的には、「4号建築」であれば仕様規定によればよいが、仕様規定を外れる設計をしたときは、ロ.の構造計算によって安全を確かめなければいけません。 「4号建築」 でない場合は、許容応力度計算が必要になります。
②品確法による性能表示をするときの方法
イ 仕様規定による壁量計算(品確法による性能表示)
ロ 許容応力度計算による構造計算
基本的には、仕様規定によることになります。ただ、令46条による壁量計算よりも細かい計算が必要になります。
上のように考えたときに、各々のランク付けはどのようになるのでしょうか。
構造のランク付け
わかり易く表にするとこんな感じです。あくまで、ざっくりとした考え方です。
※ 性能表示の等級1では、積雪、水平構面、部材断面、1・2階比率、基礎断面の検討はしない。
※ 表の等級は、耐震等級について記載している。
性能表示上の等級の説明
等級1→建築基準法に定める最低の基準
等級2→等級1の1.25倍の耐力を想定。上記表のとおり積雪荷重等を考慮している。
等級3→等級1の1.5倍の耐力を想定。
許容応力度計算ってなにをするの?
基準法、性能表示はあくまで「仕様規定」によって構造を決定しますので、詳細な計算(構造計算)は行いません。
それに対し、許容応力度計算は建物の重量を拾い出し、それをもとに部材の断面を決定します。
では、許容応力度計算で得た結果は、仕様規定によって求められた構造と比べてどれくらい強度が違うのかという疑問が残ります。
これこそは、やってみなければわかりません。
具体的にどのような考え方で進めるのでしょうか。
許容応力度計算とはいえ、構造耐力の主体は「壁(軸組)」です。必要な壁量は、仕様規定から算出します。
仮に、等級1レベルを視野に進めます。
ここからが計算になります。
地震力に対する強さを、建物ごとに計算することになります。
仕様規定から求められた壁量を、「建物が有する耐力」とします。力なので、単位が変わります。
壁量は、cm、mと長さで表記しましたが、力は、N/m(ニュートン/メートル)と表記します。
次に、建物の重量を詳細に拾い出し、地震力を計算します。なぜか。地震力は建物の重量に比例するからです。
で、比較です。
建物が有する耐力≧建物にかかる地震力
簡単に言ってしまえば、これを確認するのが許容応力度計算を行う目的です。
仕様規定でも、目的は同じなのですが、許容応力度計算では、建物ごとに異なっている地震力を算出し、部材断面、接合部、基礎、地盤がその地震力に耐えられるのかを計算によって検討、確認します。
では、地震力とはどういうものなのか。
地震力Qei=Ci×建物重量ΣWi Ciは係数
Ciは地震層せん断力係数といいます。
Ci=1.0の時に建物重量と等しい地震力が加わることになります。めちゃくちゃ安全側の想定になります。安全なのは良いのですが、コスト面からみて非現実的です。
実際のところ、極端に言ってしまえば、0.2が標準です。
建物重量×0.2を地震力と想定するわけです。
これを基本に考えて、以下まとめです。
まとめ
これ、等級でいうといくつ?と思いますよね。
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「1」です。
↓壁量計算、構造計算がわかり易く説明されています。