ZEHの平成29年度一次公募が6月2日に締め切られて、先日結果が公表されました。
補助件数 3、700件に対して、申請件数が1、299件だったそうです。
補助枠に対して、半分からやがて1/3くらいの申請しか出ていないという現状です。
ZEH対応の家にするには相当なコストがかかること、補助金が減額されたことでZEHにするメリットが少ないと、ユーザーが判断した結果ではないでしょうか?
それでも、今年度はあと4回の公募が残っていて、補助枠も8、700件残っているわけですから、ZEHのような高省エネ住宅を希望されている方は、時間をかけて検討してみるのもいいかもしれませんね。
僕は、第1次公募で4件の申請を出し、現在SIIからの質疑に対応している状況です。
ZEHの申請では、公募時期により申請の内容が変更されていきますのでいろいろと気をつかわなければいけないことがあります。
ですが、省エネ性能の計算方法については、Web上のプログラムに慣れてしまえば、あとは求める性能値が出るまで繰り返すだけです。
省エネ基準、ZEHの計算方法~WEBプログラムの使い方
ZEHというか省エネ計算の基本フローは、ひとつ!
外皮計算→一次エネルギー計算
以上です。今回は外皮計算について説明します。順番にいきます。
外皮計算の準備
外皮計算をするためには、具体的な住宅のプランと立面図が必要です。
そしてその図面から後から必要になる次の数値を計算しておきます。
■各階の床面積、「主たる居室の面積(1F、2F各々)」、「その他の居室の面積」
■立面図から各方位ごとの外壁の面積(外皮用の面積計算に従う(別掲))
■勾配なりの屋根の実面積(外壁からはみ出る軒先等は含まない)、または外気に面する小屋裏に接する天井の面積
(屋根断熱か天井断熱で異なります(別掲))
■基礎の外周長さ、1F土間の面積(床断熱か基礎断熱で異なります(別掲))
■バルコニーや2Fオーバーハング等の外気に面する床がある場合はその床面積
■各方位ごとの窓・玄関ドアの面積
※方位については、東・西・南・北のほかに、北東・北西・南東・南西となる場合があります。(方位の定め方は別掲)
※「別掲」をここで説明すると長くなるので、今回は割愛します。
以上は躯体に関しての数値。
次は、使用する断熱材の断熱性能値(熱伝導率)、窓・玄関ドアの熱貫流率(U値)
■屋根(または天井)に使用する断熱材の断熱性能値と、この部分の各材料の厚み
■外壁の断熱材の断熱性能値と、この部分の各材料の厚み
■床または基礎に使用する断熱材の断熱性能値と、この部分の各材料の厚み
■窓・玄関ドアの熱貫流率(樹脂サッシ、LOW-Eガラス(ガス入り)とかの断熱仕様でもOK)
以上、各部位の断熱性能に関しての数値。
これで、外皮計算の準備が整いました。実際の計算に入ります。
外皮計算プログラム
外皮計算プログラムにもいくつかあります。
日本サステナブル建築協会のHPに行くと、いろいろなプラグラムが紹介されているので、いろいろ試してみて下さい。
ここでは、(国)建築研究所の「住宅・住戸の外皮性能の計算条件入力シート」を使って計算してみます。
下のようなエクセルファイルがダウンロードされますので、各タブに数値を入力していきます。
ダウンロードした、(国)建築研究所のHPの同じところに計算サンプルがありますので、これを参考にして入力していくと分かりやすいです。
途中で止める場合は、入力シート上部の「XML出力」を押して「名前をつけて保存」します。断熱の条件ごとに保存しておくと良いと思います。
まづ、「①壁等ー木造」の欄の記入です。各方位・部位ごとに面積入力していきます。
つぎに、「熱貫流率」の「入力する」ボタンをおして各部位の熱貫流率を計算します。
壁、屋根・天井、床そして窓・ドアについても同様の作業を繰り返します。
入力が終わったら、最初のページに戻って「計算サイト」ボタンを押します。
すると、つぎのような計算結果が表示されます。
これで外皮計算が終了です。
この例の場合は、省エネ地域区分「5地域」での、外皮の平均熱貫流率(UA値)が、省エネ基準値「0.87」に対して「0.46」、冷房期平均日射取得率(ηA値)が、省エネ基準値「3」に対して「1.9」となっています。
この地域での、ZEH基準値は、UA値が「0.6以下」、ηA値が「3以下」ですので、ZEH基準をクリアしました!
外皮計算はここまでです。
計算結果の「単位日射強度あたりの暖房気日射取得量」は、一次エネルギー計算時に使用します。
まとめ
いかがでしたか?
理解しやすいように、おおまかな流れだけを書いてみました。
下のような分かりやすいテキストがありますので、参考にしてみて下さい。
→「木造一戸建て住宅の外皮計算基本講習テキスト」(日本サステナブル協会)
計算プログラム、と聞くととっつきにくい先入観をもってしまいがちですが、コツをつかむとなんともないです。
上で紹介した各サイトのプログラムをつかってみて、自分にあった方法を見つけると良いと思います。
「習うより、慣れろ。」ともいいますが、いちど試してみて下さい!
平成29年度のZEHの補助金交付には、実績報告前のBELS評価取得が必須になっていますので、その点もお忘れなく!
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